偉人たちの経済政策 (角川新書) by 高橋洋一 ダウンロード PDF EPUB F2
この本は、日本史の経済政策を解説した本になっていますね。
特に、江戸の三大改革や後藤新平や高橋是清や池田勇人を取り上げて、解説している本になっていますね。
特に、現代になるにしたがって、わかりやすい解説になっていますね。
ただ、個人的に気になったのが、田沼意次を「自民党の公共事業」と同じで、貨幣的な側面に全く、気にしていないと書いている事です。
しかし、歴史的な解釈では、田沼意次の改革が失敗したのは、半分は、浅間山の噴火や冷害などの自然災害が原因です。本人の責任ではありません。
また、貨幣経済には積極的で、米で、税収を補うのはなく、貨幣で、財政を立て直そうとしたので、とても先進的な人間だったというのが普通の評価です。時代が彼に追いついていなかったのです。また、学問や貿易の自由化に積極的で、平賀源内とも仲が良かったのは有名な話です。もし、浅間山が爆発しないで、田沼意次の改革が続いていれば、貿易の自由化が早くなり、開国が早まったかもしれないと言われています。
そして、「わいろ」が横行したと書いていますが、これは、松平定信などの田沼嫌いの後継者が、レッテルを張ったというのが通説です。そもそも、「わいろ」が嫌いと言われていた松平定信も、田沼意次に、「わいろ」を送って、偉くなったのは有名な話です。
江戸の三大改革と田沼意次の改革を考えれば、唯一、及第点なのは、田沼意次の改革だけでしょうね。徳川吉宗も、紀州藩を立て直しましたが、将軍としては、異様に、庶民生活の緊縮にこだわっているので、合格点は、あげられません。残りの人間は、話になりません。
基本的には、徳川幕府だけで、緊縮財政をやればいいのに、庶民生活まで、緊縮生活を求めて、経済をガタガタにしているので、基本的に失敗です。また、新しい教育や思想まで、禁止しているので、話になりません。
ここに、徳川幕府の正義と、日本の庶民生活の正義がねじれたので、徳川幕府が、ペリーがきて、一気に倒れたのが、普通の解釈ですね。
まあ、いろいろな突っ込みが入る点はありますが、面白い本になっています。
あと、電子書籍化してくれて助かりました。とても読みやすいです。電子書籍化が遅れている出版社は、反省してほしいですね。電子書籍化しないと、絶対に買いません。